🎶青春の日々
碧月れいの『 ♫ショートshort シリーズ 』
4 礼子とユリ
高校時代、礼子とユリは、二人マドンナと呼ばれ、
人気を二分していた。
正当派の超美人、礼子はオーラがあり、
近寄り難いクィーン然としていた。
一方、甘え上手で、セクシーなユリは、
男性に媚を売るのに長けていた。
問題を起こすのは、常に性的に熟したユリだった。
プライドが高い礼子はそんなユリと
ライバルの眼で見られることも不愉快で、
相手にしていなかった。
高1の礼子が初めて藤堂と会ったのは、
早稲田大学の大学祭だった。
大学7年の藤堂はいまや早稲田の顔。
学祭長としてもカッコよく、
白いワイシャツ姿で腕をめくりあげ、
あちこち指示を出している姿に魅せられた。
〈この礼子様の心をつかむなんて、生意気な奴!
なんてサァ。ク、クヤしいイ!〉
自分から惚れるなんてありえない!
と思いこんでいた礼子のプライドは見事に崩された。
しばらくして、藤堂と礼子は付き合ったが、
進展はしなかった。
その後、藤堂は広告マンとしてニューヨークで多忙を極めた。
礼子はパリ、ロンドン、ミラノでミスコン力を磨きながら、
報道キャスターへの道を歩いていった。
藤堂は活躍している礼子を恋人館ダンスパーティーへ招待した。
━━(藤堂) 久しぶり!大活躍だね。
さらにイイ女になってきたじゃないか。
10年ぶりの再会である。
━━(礼子) ご招待、アリガト。
まぁ、相変わらずお口が上手。貴方こそすごいわ!
━━(藤堂) 謝ることがあるんだ。ユリも一緒に来たんだ。
泣きつかれて、仕方なく、ワイフにした。
まぁ、いつまでつづくかわからないが、
しばらく側におくつもりだ。すまない。
大成功していた藤堂は大物の顔になっており、
さらに男の色気が垣間見えていた。
礼子は、近づいてきたユリに向かって、笑顔で言った。
━━(礼子) ユリ、結婚おめでとう! 第2ラウンドは私の負けね(笑)
━━(ユリ) 元気そうじゃない、礼子。
いろいろあったけど、収まるところに収まっちゃった(笑)。
相変わらず食えないオンナだ。
礼子はユリの言葉を聞き流し、心の中では、
〈第3ラウンドは私が勝つわよ〉と強気だった。
礼子のプライドが放った一言だった。
ユリがいなくなるや否や、
━━(藤堂) 六本木芸能恋愛スクール:マンハッタン–Ⅱ
の顔になってくれないか? 損な話しじゃないだろ。
招待特別生として、君のシンパを育てたいんだ。
十分な契約料をペイするから、頼むよ。
頭を下げてきた。
礼子は今注目のマンハッタン–Ⅱの顔も悪くないと快諾した。
━━(礼子) ただし、ニューヨーク校をつくってくれない?
━━(藤堂) わかった。
メディアが注目するタレント学生を5人以上、
世間に出してくれたら、ニューヨーク校をつくり、
君に任せよう。
礼子がマンハッタン–Ⅱの顔となって以降、
メディアからの注目は高くなり、
海外のプロタレントたちも集まってきた。
マンハッタン–Ⅱに力を尽くす礼子は、
藤堂の信頼を得ていった。
それに対してユリは、藤堂がかまってくれない不満からか、
男遊びに興じ、週刊誌ネタになる日がきた。
ユリと藤堂はたった3年の結婚生活だった。
礼子は
〈ユリ、悪いわね。第3ステージはもらったわよ〉
と、心の中でほくそ笑んだ。
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