『 天空の恋人館 』No.17 イブの誓い

🎶浅い月明かり

『 天空の恋人館 』

No.17  イブの誓い


一つになったシルエットは、時が止まったかのように美しいフォルムをつくっていた。

━━(王子) 今夜はこのままの二人でもいいですか?

━━(真尋) もちろんです。
私はこれだけで十分ですわ。

ペントハウスの中のプラネタリウムは美しく、
真尋を、そのまま宇宙にいるような錯覚に陥らせた。

━━(王子) 真尋さん、お見せするのは貴女が始めてです。
もし私がまだ生きていけるのならば、
真尋さんと行ける星の国を作れたら……なんて、
考えていました。

━━(真尋) まぁ、素敵なお話し!!
じゃ、病いをお治しになって。
そうなれば、ご一緒させていただいても……。

満点の星空に囲まれながら、二人のシルエットは
また、一つに重なった。

━━(王子) 貴女のために、逃げずに病いと闘うと誓います。
またオペラを歌えるようになりたいのです!

━━(真尋) まぁ、嬉しいです。
オペラ…、お聴きしたいです。
……王子様のオペラへの思いをリハビリに使えるかもしれませんよ。
素晴らしい方をお引き合わせしたいですね。
王子様、きっと、またオペラが歌えるようになりますとも。

━━(王子) それは有難いなぁ。
少し元気が出てきたようです。
どのような御方ですか?

━━(真尋) シンガーの優佳さんという方です。
【治音®】という新しい音楽処方を
開発されたばかりのシンガーさんで、
私が最も尊敬している方と申し上げられます。
私がお願いをすれば、
王子様のためにオートクチュールな音楽処方で、
お力をお貸しいただけます!

王子様に寄り添いながら、
内側のお気持ちに温かな光りを当て、
王子様の音楽脳の回復に努めてゆかれるでしょう。

━━(王子) ぜひとも、お力添えをお願いできますように。
頑張ります!

真尋は電話し、優佳さんから快諾を得た。

真尋は、心の中で「絶対、イケル!」と、小躍りしていた。
優佳さんは、メンタル面のお勉強にも力を入れている最中で、
ちょうど、治音®がほぼ完成したところだった。

真尋は、王子と再会を約束し、みんなのところへ戻った。

━━(リリカ) 王子様に逢えた?

━━(真尋) 別天地だったよ。
…負けじとセレブぶって、少し疲れちゃったかな。

━━(みんな)
         (笑)

Xmasイブの華やかなパーティーが開かれたが、
碧川、三井、由良、一色、北乃らの姿は見当たらなかった。
5人が恋人館を去る時がきた。

記念品ボックスには、
それぞれに大理石でつくられた星座像がプレゼントされた………。
星座像の中には、それぞれ宛てにカードが添えられていた。

下りのエアーファルコンの中で、
リリカ、うらら、亜梨沙、華音は、封をきった。

━━(リリカ) まさか、こんなXmasプレゼントが……。

━━(うらら) フラれてなかったんだ。

━━(亜梨沙) 信じられないよ。

━━(華音) 夢じゃなかったらいいんだけど。

Merry Christmas!

4人は、紳士たちの心を奪っていたことがわかり、
神戸を跡にした。

 

 

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