🎶ochiba
『 天空の恋人館 』
14. 恋スル乙女たち
名探偵真尋の話しに翻弄されながらも、
4人は、自分たちの心を奪った彼氏のことで、
頭がいっぱいだった。
━━(リリカ) さすが、真尋だわ。
たださ、私たちの頭の中は…
━━(真尋) わかってるよ、私も、女だし。
まだ冷めてないでしょ?
━━(亜梨沙) なるほど、って思うんだけど‥。
でも、彼に会いたい‥、
一色さん、あっ、シルクキャッツにもう一度愛されたいの!
━━(真尋) 亜梨沙は彼に会ってるわよ。
Dr.スチュワート田村も、シルクキャッツだと思うの。
貴女の顔の回りに、ほんのり甘い香りがしていたし、
彼は、私の視線を避けていた感があったから。
━━(亜梨沙) えっ、ホント。優しく診てくれたけど。
━━(真尋) それはアロマの媚薬が効きすぎたから心配したのよ。
無傷で藤堂オーナーに返さないと契約上まずいからよ。
━━(華音) ねぇ、真尋、由良さんは?
私、キスだけよ。それ以上はないし。
それに、彼は快盗シルクキャッツの仲間じゃないでしょ?
年末に高輪ゲートウェイミュージアムで会う約束になってるんだけど。
━━(真尋) あのバーテンさんね?
気の毒だけど、偽者よ(笑)。
シェイクの仕方が素人。
どこからみても、世界のセレブ相手の技じゃなかった。
あの後にカウンターにはいった
常勤のバーテンダーの方に確認したから。
ゼロの王子側の仕掛け人でしょうね。
ミュージアムには、来たくても、
今は来れないんじゃないかしら。
もし来たとしたら、向こうも華音に本気だわね。
━━(華音) ………
少し重い空気になったと感じたうららが、
「みんな、礼子さんと藤堂オーナーのこと、
知りたくない?」と、明るく、口を開いた。
━━(真尋) いいわよ。
礼子さんが「藤堂!」と呼びつけたときの表情は
二人がなにやら訳ありだとわかったわよ。
「藤堂オーナーは、元カレですか?」って、聞いちゃったの。
怒られるかと思ったら、
「 まぁね、私からユミへ乗り換えたのよ、アイツ!」
って、タメ口がかえってきたわ。
礼子さんは、自分を傷心させた償いに、
新たにニューヨークにマンハッタン-Ⅲを
任せる契約書を交わさせたみたいよ。
さすが!でしょ。
━━(亜梨沙) すご~イ!やるわね、マドンナ。
━━(真尋) 礼子さん、まだ藤堂オーナーを愛しているわね。
「悔しいけど、アイツは女の喜ばせ方を知ってるからネ(笑)」
「忘れようと思って、芸に打ち込んできたの。」って、
言っていたけど。
藤堂オーナーは、プレーボーイで知られている。
大手の芸能プロダクションやニューヨークで
ホテルも営むやり手の経営者で、
若かりし若林豪に似たダンディズムが魅力だ。
あの礼子さんでも虜になるのはわかるような気がする。
4人は興味深く、真尋の話しに聞き入っていた。
━━(リリカ) 礼子さん、前よりもっとファンになりそう。
私たちの中で、恋してないのは、真尋だけってこと?
━━(華音) あっ、真尋がバーからパーティールームに戻る
ときにスレ違った北乃という葉巻の紳士は?
━━(真尋)〔微笑みながら〕北乃さんは渋くて、
素敵だったわね。
父がロンドン警察に赴任時代に出会った
葉巻倶楽部からの友人みたい。
今は、オーストリアの警視で、なかなかの大物だって。
父が吸っていた葉巻と同じ香りがしていたので、
もしかして~と思って、父に電話したの。
北乃さんが大阪での国際コンベンションに
出席することがわかっていたので、
それとなく、恋人館に潜らせたのね。
私を溺愛している父らしいけど━。
━━(華音) な~んだっ。じゃ、恋にはならないかぁ。
━━(真尋) ちょっと、憧れなんて、素敵じゃない?
━━(亜梨沙) ところで、残るは、ゼロの王子かぁ。
真尋、もう23日だし、明日は対面だね。
すごい、すごい!
━━(うらら) またドキドキしてきたよ。
━━(リリカ) 私も。
ゼロの王子。一体、何者なのか━━?
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